のぞみだより#32「税にまつわること」
令和5年の世相を表す漢字が 「税」と発表されました。税と聞くと仕事柄気になります。
そもそも今年の漢字はどう決まるのでしょうか。私は、位の高い僧が一年を振り返り、世相を表現する特徴的な文字を自身で考えて、書きあげるのだと思っていました。ところがまったく違うことを知りました。日本漢字能力検定協会が、一般から募集し、最も多かった字が選ばれるのだそうです。
僧侶というものは、世間の一般人々の生活を知り、喜び、悲しみ、悩みを深く察し、人々を導く者であると思っている部分もあり、そういう方があの立派な筆で描き上げるので、畏れ多いものだと信じていた。それが全くの勘違いであった。
ところで、税が選ばれた理由は? 防衛費のための増税、いっぽうで所得税、住民税の低額減税とか、それよりも今手を焼いているインボイス制度への対応と確かに税にまつわることが話題になっています。一般の方が税に関心を持つことはいいことだと思います。今後も行方を見守っていってほしいと思います。そして納税意識が高まることを願っています。
さて、一年が終わると所得税の申告をしなければと準備を始める人もいると思います。所得控除のひとつふるさと納税制度が2008年から始まりました。ふるさと納税は、自分が住んでいない地方自治体に寄付をする制度です。寄付をした人は、所得税や住民税の控除が受けられます。また、寄付をした自治体から地域の特産品などお礼の品をもらうことができます。
日本人は欧米人より寄付をするという制度が定着していないというように言われていますが、このふるさと納税により日本人は少しかわったでしょうか?
ふるさと納税は地域の活性化や課題解決に貢献でき、好きな地域、また目的を絞って応援できるメリットがあり、寄付を身近に感じることができるようになりました。しかし、返礼品が目当てで、目的になってしまっています。私もそうです。地域を選ぶのではなく、欲しいものが先になってしまっています。ちょっと違うと思っています。
また、自分の住んでいる自治体に寄付ができないのも不思議でなりません。私が利用しているふるさと納税のサイトでは、住んでいる自治体を入力しても先に進みません。もっとも寄付しようと思えば別の方法で寄付はできるはずです。
ふるさと納税により自治体に寄付は集まるが、その自治体に住んでいる住民が納める住民税は減ることになる。すっきりしませんね。制度の改正があるといいと思っています。
税理士法人のぞみ 松本事務所所長 税理士 百瀬幸子