口腔ケアが大切な理由
口腔ケアとは、虫歯や口内炎、誤嚥対策に加え、心身の健康を維持または増進させるケアのことです。口の中を清潔にすることで心地よさや爽快感が得られるだけでなく、生活の質(QOL)の向上や全身の健康維持・向上につながります。
口腔ケアとはなに? なぜ口腔ケアが必要なの?
口腔ケアとは口の中を清潔に保つことで、さまざまな口の中のトラブルを防ぐことに加え、食べたり会話したりする機能(口腔機能)の維持・回復、ひいては全身の健康や生活の質(QOL)の向上を目的に行われるケアの総称です。
「口の中の清潔が、全身の健康にも影響するの?」と少し意外に思った方もいるかもしれません。口腔ケアによって得られるメリットは、単に心地良さや爽快感だけではなく、以下のように実にさまざまな側面があります。
口腔ケアによって得られるメリット
〇口腔細菌を減少させる
〇口腔内の爽快感が得らえる・口臭予防
〇口腔内のトラブル対策
〇唾液分泌促進・味覚の維持
〇口腔機能の維持・改善(呑み込みの機能向上など)
〇味覚の回復、食欲の向上
〇QOLの向上(表情が豊かになり、会話や食事が楽しめる、社会参加が促進される)など
適切な口腔ケアは、高齢者の寝たきりなどのきっかけとなることがある「誤嚥性肺炎」の対策にもつながるため、全身の健康維持のみならず、社会生活の充実にまで関係する、重要な役割を持つケアと言えます。
口腔ケアの基本は、毎日のうがいや歯磨きを始めとしたセルフケアです。
加齢とともに変化する口腔内環境とお口のトラブル
口の中は細菌などの微生物が好む環境(室温・湿度・食べかすなどの栄養成分)が揃いやすいため、もともと良好な状態が保たれにくい場所です。
年齢を重ねると、自浄作用を持つ唾液の分泌が減ったり、体の一部が不自由(麻痺・認知症など)になり、自分で上手にケアできず、歯の不具合や口腔内トラブルが多くなりがちです。
口腔ケアでトラブル対策
口腔ケアが適切に行われることで、具体的にどのようなことが期待できるか、改めて次のようなことが挙げられます。
・味覚が維持されやすくなったり、入れ歯の安定化が図られるなど、食べる・話す機能の維持・回復につながる。
・飲み込みの機能が向上し誤嚥性肺炎リスクが減少する。
・食事や会話をするうえでの支障が減り、それらを楽しめるようになる。他者とのコミュニケーションが円滑になり、生活の質(QOL)の向上につながる。 しっかり噛んだり、会話を楽しめることは、脳への良い刺激になる。
口腔ケアのポイント
セルフケアによる口腔ケアの基本は「うがい」「歯磨き」「舌や粘膜のケア」です。実際に行う際には次のような点に配慮し、確認するようにしましょう。
- いつ?(口腔ケアのタイミング)
口腔ケアは、基本は細菌を除去することです。もっともお口の中に細菌が多いのは起床時です。そのタイミングでしっかりケアすることが重要です。その他、毎食後だけではなく、食前に実施することで、口腔ケアを「安全に食事を摂るための準備体操」として活用することもできます。口腔ケアのタイミングや回数に確かな決まりはありませんから、日々の生活リズムのなかで、どのようにしたら安全・快適に効果的なケアが行えるか、柔軟に検討しましょう。
2,どこで(口腔ケアを行う場所)
洗面所・居室・など、さまざま考えられますが、いずれの場合も、誤嚥しにくい安全で安楽な姿勢や体位を取ることが大切です。顎を引いてやや前屈した姿勢をとれるようにするとなお良いでしょう。
- どのように?
どのような口腔ケア用具を使用するか、介助が必要な場合はどの程度かなど、手段についても考えていきましょう。ケアに時間をかけすぎない、不快感を与えないことも大切です。
「80歳まで20本の歯を」と、口腔ケアへの意識が高まり、高齢になっても残存歯が増える傾向にあります。一方で加齢により口腔ケアが独力では難しくなった場合は歯周病が急激に悪化し誤嚥性肺炎や寝たきりを招く恐れがあります。
自分自身でケアする時間を割くことが困難な場合は、歯科医師による診療、歯科衛生士によるケアを依頼することが大切だと思い