のぞみだより#27「経理。総務のパラダイムシフトへの備え」
時代に共通する思考の枠組みの変化に我々は直面しております。デジタル庁の設置による官指導のMX化、eーTAXを始め、インボイス・マイナンバー利活用による租税行政の高度化は進みます。
変革の時
明治維新政府は欧米列国から遅れた産業革命で、欧米が軽工業から重工業に移行し、生産性の見劣りする生糸生産に関心を失った隙間産業となった生糸生産に殖産興業の的を絞り、江戸時代から続く生糸生産の品質向上に力を入れ、輸出に励み、国力増進につなげました。特に長野県は一大生糸生産地となり、ナイロンによりその地位を失いましたが、その生産地は精密工業に移行できました。
ロシアのウクライナ侵攻は何をもたらすか
昔、私はお客様から「世の中は周期的に戦争を仕掛ける国が出る。敗戦後数年で朝鮮戦争が勃発し、GHQの発注で機関銃の弾製造が出来た。また注文があるはず。」と語っていました。
今、ロシアといい、中国の台湾進攻とキナ臭い時代になりました。そこで、日本は国防費を大幅に増額します。多くの武器は大手企業が生産しますが、弾薬・ドローン・ヘルメット・防弾チョッキ・シェルター製造などの備蓄品は中小企業でも生産が可能です。
北イタリアのブランド化を参考に
新製品・新技術には技術的に難度があっても、今生産している製品の深掘りは可能であります。例えば、ネジの技術は熟練が必要で、嵌め殺しというネジ、自動車のタイヤ装着に使うネジも進行方向に合わせる必要がなくなったなど技術の向上で品質の向上を支えています。
既存技術の限界まで追求すれば、北イタリア(ミラノ・トリノ)のバックなどに見るようにブランド化が図れるのではないか。
経理の高度化は緊急の経営課題
現場の変化に必要な経営資料を整えるのは経理総務の仕事です。パラダイムの変化に対応するには資金の蓄積と経営判断に資するレポートの作成が求められます。伝統的な経理事務(財務資料・申告書作成)でなく、原価管理・特殊原価調査などの利活用が期待されます。
経理総務の力が企業の生き残りを支える時代となりました。会計システムの更新だけでなく、財務データを企業存続に生かすノウハウ向上が肝要です。
税理士法人のぞみ 長野事務所所長 税理士 星野直信