円安が経営に及ぼす影響とその対策
10月4日現在、外国為替市場は1ドル=144円台まで下落しています。1998年以来の円安が加速しており、物価高や原材料の価格上昇は終わりが見えない状況となっています。企業への影響と対策について見ていきましょう。
東京商工リサーチが6月に実施した調査において、円安が会社の経営にマイナスの影響があると回答した企業は5,667社のうち46.7%。規模別でみると、資本金1億円未満の中小企業では48.2%を占めたのに対し、輸出や海外進出の比重が大きい大企業では37.7%で、その差は10.5%となっています。業種別では衣料品販売が80%を超えるなど、特に輸入に頼る企業で円安による海外からの仕入価格の上昇が収益を圧迫しているといえます。
では、どのような円安対策に取り組んでいるのでしょうか。帝国データバンクが実施した調査では、「原材料やエネルギーコスト上昇分の販売価格への転嫁」、「燃料費等の節約」、「固定費削減」がTOP3となっています。思い切って海外への輸出を拡大するというより、まずは取り掛かりやすいところから対策を進めている企業が多いことが分かります。
今後も円安の影響は長続きする可能性が考えられるため、その影響を見越した製品の販売価格設定や、あらかじめの準備も大切になってきます。製品価格の値上げを行う際にも、購買意欲を下げない納得のいく値上げをしなければならず、非常に難しいところです。例えば、独自のブランディングをし、他の類似商品と差別化を図ることも一つの方法です。既存のビジネスを新しいステージへ移すチャンスになるかもしれません。
参考:
(1)東京商工リサーチ “一時、1ドル=135円を突破 1ドル=130円で企業の約半数が経営に「マイナス」~「円安に関するアンケート」調査~”
(https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220614_03.html)
(2)Yahoo! ニュース “円安対策は56%で実施。対応策は販売価格への転嫁、固定費削減、仕入れ先の変更など”
(https://news.yahoo.co.jp/articles/98837179c133426987bcc9eb819486da4561a1b3)
文責:姥貝 友香