ガソリン代の高騰とトリガー条項
殺伐とした社会情勢の昨今、食料品や電気、ガスなどのエネルギー代等の高騰により、家計がかなりの打撃を受けている方も少なくないでしょう。
そんな中で、日常生活に直結しているガソリン代についてお話したいと思います。
ところで、ガソリン価格の内訳についてご存知でしょうか。次のような内訳となります。石油精製費、備蓄費、輸送費などを含む本体価格、ガソリン税1ℓあたり53.8円、石油石炭税1ℓあたり2.04円、地球温暖化対策税1ℓあたり0.76円、この総額に消費税10%をプラスして1ℓの販売価格となります。余談ですが、税金に税金をかける二重課税、と言われる所以がここに見えてきます。
さて、もう一つのテーマ「トリガー条項」とは何か。それは、上記の価格内訳の中のガソリン税に関わるものです。ガソリン税は更に細かく区分することが出来、その内訳は、1ℓあたり本則税率28.7円、特別税率25.1円、合計53.8円となります。トリガー条項は、結論から言うとこの内の特別税率25.1円の課税停止を指します。そもそもトリガー条項は、2010年4月、租税特別措置法第89条にて導入されました。内容は「レギュラーガソリン1ℓあたりの価格が、3ヵ月連続して160円を超えた場合、その翌月からガソリン税の上乗せ部分(特別税率)25.1円の課税を停止して、その分だけ価格を下げる」というものです。逆に元に戻るには、「3ヵ月連続して1ℓあたり130円を下回った翌月から」となります。
ところがこれには続きがあり、実は翌年の2011年3月東日本大震災が発生し、その復興財源確保の名目で適用が凍結されたのです。正式には、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第44条」に規定され、そこには「租税特別措置法第89条の規定は、東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し、別に法律で定める日までの間、その適用を停止する」と規定されたのです。つまり、凍結を解くには新たな立法措置を講ずる必要がある、ということになったのです。
こうした経緯の中、ガソリン代の高騰を受けて、トリガー条項の凍結解除について昨年話題となりましたが、凍結解除は否定されました。その代わりに、石油元売り各社に1ℓあたり上限25円の補助金を出すことにより、ガソリン小売価格の抑制に取り組んでいます。
ガソリン代一つとっても、このような複雑な背景があります。今後秋以降、食料品、ビール、外食産業等の値上が予定されている状況です。ウクライナ情勢、円安、新型コロナウィルス等終息の見通しがつかない中ですが、平穏無事な日常生活が、一日でも早く訪れることを切に願ってやみません。
参考記事:
株式会社 クリエイトWebマーケティング担当
ファイナンシャルプランナー 石倉博子
以上インターネットの記事より
文責:深澤博志