相続における保険金の課税関係について
相続において被相続人の死亡によって取得した生命保険金については、500万円×法定相続人の人数まで非課税枠が設けられているため、節税策として利用することも可能です。
しかし、被相続人の死亡要因が火災の場合、保険金のうち、住宅の火災保険金については相続財産になる可能性もあります。
今回は2つの事例から、火災保険金が相続財産になるケースとならないケースについてご紹介します。
①自宅が焼失し被相続人が病院に搬送されたが、数日後に亡くなったケース
この場合は、火災保険金が相続財産に含まれます。
通常、火災保険は契約時に火災の程度によって保険金をいくら支払うか決まっているため、火災保険金を請求する権利は火災の鎮火直後に発生します。
したがって、被相続人が死亡した時点で火災保険金は相続財産に含まれていることになります。
②自宅が焼失し被相続人が焼死体で自宅跡から発見されたケース
この場合は、火災保険金は相続財産に含まれません。
被相続人が亡くなった時は火災が発生しているときなので、火災保険金の請求権はまだ発生しておらず、焼失した自宅が相続財産に含まれることになります。
また、この場合焼失した自宅の固定資産税評価額は焼失した直後の価額になるため、0円となることが多いと考えられます。
①と②では相続財産の価額が大きく変わる可能性があるため、もしも火災保険が支払われるような状況になった場合には支払われるまでの経緯を落ち着いて把握することが肝要です。
出典:東京税理士界volume No.697(2015年2月1日) 9ページ 会員相談室より
文責:佐藤小太郎