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2021年3月12日

これから海外不動産投資するのはメリットがないのか

2021年から海外不動産の節税スキームが使えなくなると聞いている方もいらっしゃるかと思いますが、具体的にどのように影響があるのか見ていきたいと思います。

2020年度の税制大綱により、2021年分以降の所得税の計算の際に、海外不動産の中古物件に関する減価償却費の計上について制限が設けられました。

 

どのように制限されるのか

海外中古不動産の貸付で損失が生じた場合、その損失分の減価償却費がなかったものとされます。

具体的には・・・

海外不動産収入 600万円-減価償却費以外の費用200万円-減価償却費2,000万円=△1,600万円

この1600万円の損失分の減価償却費はなかったものとされ、不動産所得は△1600万円から0となります。

 

なぜこのような制限が設けられるようになったのか

例えば国土交通省の公表しているデータによるとアメリカの住宅の平均寿命は55年と日本の30年に比べて長く、中古物件でも建物の価値が高く評価されており、不動産の売買の際の土地と建物の割合がアメリカでは一部の地域を除き、土地20%、建物80%と言われています。したがって、同じ価格の不動産でもアメリカの不動産だと償却できる建物に計上できる金額が大きくなります。さらに、築年数が日本の法定耐用年数(居住用木造だと22年)を超えているものが多く流通していますので、簡便法を使い法定耐用年数の0.2倍(木造だと4年)で償却できてしまうのです。

このように最初の4年で多くの減価償却費を計上し、海外不動産の所得を赤字にし、他の不動産所得や給与所得等と相殺し節税することが可能でした。この節税スキームに制限が設けられた形となります。

 

では、海外不動産の投資はメリットがなくなったのかといえばそうではないかと思います。短期的な節税のメリットはなくなりますが、アメリカを含めて賃料が上昇している国も多くありますので、長期的に保有し継続的な家賃収入を得る目的での投資も考えられますし、物件を売った場合、不動産所得の計算でなかったものとされた減価償却費を取得費とすることができますので、譲渡所得を低く抑えることが可能となります。値上がり益を狙って投資することもいいのではないでしょうか。

 

文責:税理士 武石 仁美

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