良いモノの価値とは?
気が付けば今年もあと僅かです。日に日に寒くなっていますが、皆さんの体調はいかがでしょうか?
突然ですが皆さんはお酒を飲みますか?
新型コロナウィルスの影響やコンプライアンスの関係のせいか、最近はお酒の話題がめっきり少なくなった気がします。特に最近の若い人達はあまりお酒を飲まないとも聞きます。
ストレスの発散方法や生活スタイルの変化もありますが、お酒を飲む意味が分からないという意見すらあるようです。
さて、そんな中で今回お話しするテーマは「価値」についてです。
「付加価値」と同義に用いられることもありますが、ここでは文字通りその製品の金銭的な価値になります。最近では特によく聞く話ではないでしょうか?
100円のコーラを、夜景の綺麗なホテルでお洒落なグラスに入れて1,500円で提供する話は有名かと思います。
モノは同じでも、より高価格帯で売るために、如何にして新たな価値(付加価値)をつけるかが焦点となります。薄利多売とは真逆の考え方です。
しかし、この「価値」という概念はなかなかに厄介な存在です。
そもそも「価値」とは絶対的ではなく相対的な概念になります(物凄い歴史と諸説があるためここでは割愛します。未だに論争が続いており決着がつかない概念です。)。
つまり価値とは買い手(お客さん)が判断するものであり、お客さんが価値のないと考えるものはどんなものでも価値はゼロになってしまいます。
かつて農業経営者の方々が6次化により新製品を作ることが流行しましたが、この「価値」に対する考え方を誤ったため、商売としては失敗する事例が多く発生したことがありました。
当時、「良いモノを作れば売れる!」という意気込みで多くの農業経営者が時間と労力を惜しまずに「良いモノ」を作りました。しかし、そもそも「良いモノ」であると「価値」を判断するのはお客さんです。
つまり「良いモノ」=「価値」ではなく、現代では残念ながら「労力」と「価値」は比例関係でもありません。
冒頭のお酒の話に戻りましょう。
なぜ若い人達がお酒を飲む機会が減ったのか?
これまでの話の流れで考えると、若い人達にとってお酒に「価値」がないという結論になります。時代の流れや生活スタイルの変化でこれまであったはずの価値が消えてしまったと言った方が良いかもしれません。
勿論その一方で、逆に価値が認められ、売上を伸ばしているお酒もあります。
ネットによる情報により認知度が高まったクラフトビールや蔵元の日本酒、ここ数年の流通商品ではストロング系でしょうか?
理由としては味という価値もありますが、特筆すべきは希少性や話題性が付加価値となって前面に出てきました。中にはそのお酒に対して個別に動画配信をして、その歴史や製造工程を熱弁する酒蔵もあります。ネットの情報を上手く活用した販促活動ともいえます。
付加価値は非常に難しい問題です。付加価値の模索は全業種で行われており、農業に限りません。こだわりも必要ですが、それが本当に市場で求められている価値であるか否かを見極めることが大切です。
そんなこと言われても何をすれば良いか分からない?
そんな時はお気軽に当事務所にお越しください。お酒を飲みながら…とはいきませんが、一緒に事業計画を立て、先ずはご自身の夢を書き出してはみてはいかがでしょうか?
文責:農業経営コンサルティング事業部 日本政策金融公庫認定 上級農業経営アドバイザー 大久保 荘司