のぞみだより#7「STLOWSの法則② 全体的思考」
戦略MGの開発者である西順一郎先生は成功する企業の条件として「STLOWSの法則」として6つ挙げている。(その思考領域関連図は下記の通り)
私も半世紀にわたり税理士として何百という企業・経営者と接してきたが、やはり成長発展してきた企業に共通しているのはこのSTLOWSの徹底実践であると実感している。
STLOWSの法則とは
S=科学的思考 T=全体的思考 L=長期的視野 W=バランス思考
O=独創的思考 S=体系的思考
前回はS「科学的思考」の重要性について記したので、今回は「全体的思考」について述べたいと思います。
私は、低成長時代の中で中小企業が勝ち残るには、経営者は勿論、経営者に限らず全社員が全体的思考=全社的視野での行動が必要となる。つまり社員全員経営の時代となると思っています。会社が向かおうとしている方向を全社員が理解して、何か判断をしなければいけないような場合、「社長ならどうするか」を判断基準となるような会社になるべきだと考えます。
そのためには全社員がトップの考え方を理解していなければそれはできません。
このことについて、伊那食品の塚越会長は著書「いい会社をつくりましょう」の中で次のように述べています。
『トップの理念や考え、指示やその目的を社員に伝え知らせることは、モラールアップの最大の手段であると思います。組織のトップは、組織を構成する人たちに徹底して自分の考えを知らせる努力をしたいものです』中略『情報を、バラバラでなく系統立てて伝え、それを必要とする社員が等しく共有するということをきちんとやっていれば、おのずから社員の行動様式はまとまり、モラールも向上してきます』中略『私は、朝礼や月例会、社内報などによって、社員に「知らしめる」ことを、常に務めてきました。会社のあるべき姿を再確認して、日々の行動に移してもらうのが目的です。経営者とすべての社員が、同じ理念、価値観を共有していることが大切だと思うからです』
先日、ロケット開発に携わっている知人から聞いた話です。
打ち上げ成功のために何百人という技術者がそれぞれの部門を担当している。自分の担当部分の開発に全力を挙げると同時に、ロケット制御において、科学技術者の関心は、つねにロケット全体に向けられている。つまり、あらかじめ計算された軌道通り、ロケットがうまく作動してスムーズに飛ぶことが、皆の頭の中にある。推力の不均一や先端のゆるやかな揺れなど、ほんの一部分を修正するにしても、すべて全体に直結して行われるのである。
従ってどの部分をいかに修正するのかを全研究員が知っているということでした。
ずばり、企業経営にも同様のことがいえるのではないでしょうか。
税理士法人のぞみ 会長 望月宗敬
STLOWSの法則-その思考領域関連図