都道府県別の在宅医療サービスを行う診療所
都道府県別の在宅医療サービスを行う診療所
平成28年度の診療報酬改定で在宅医療について、大幅な変更が行われます。ここでは、厚生労働省が3年ごとに実施している調査の最新結果から、在宅医療サービスを実施している一般診療所の数を都道府県別にみていきます。
全体の38%が在宅医療サービスを実施
上記調査結果から、保険種類・都道府県別に一般診療所(以下、診療所)での在宅医療サービスの実施状況をまとめると、下表のとおりです。
医療保険等による在宅医療サービスを実施している診療所は、全国で約4万施設となりました。都道府県別の実施施設数は、東京都や大阪府、愛知県など各地の大都市圏の中心地域で多い状況です。ただし実施割合では、和歌山県や鳥取県、島根県が50%を超えるほか、徳島県や広島県、岐阜県が49%台と高くなっています。
一方、介護保険による在宅医療サービス実施施設数は医療保険等より少なく、全国では1万施設程度となっています。都道府県別の実施施設数は、東京都と大阪府で1,000を超えています。実施割合では岐阜県の17.9%が最高で、10%を下回る地域も少なくありません。
なお、実施しているサービスの種類は、医療保険等によるものでは往診が最も多く、2万を超える施設で行われています。次いで、在宅患者訪問診療も2万を超えました。他方、介護保険によるものでは、居宅療養管理指導(介護予防サービスを含む)が最も多く、7,000を超える施設で行われています。
在宅医療サービスは高齢化社会の中でその必要性が高まる一方であるにもかかわらず、膨大に発生する書類作成、患者さんからの電話受付、医事会計(レセプト算定)が独特で複雑なこと、人材の雇用・育成が必要なことなど、医師が大きな業務負担・コストを抱えなければならない問題が存在し、普及が遅れているのが現状です。在宅医療サービスを普及させるための法的な整備が進む一方で、医師をとりまく問題は解決されておらず、より多くの患者さんが在宅医療サービスを受けることができるよう、医師が積極的に在宅医療に参加できる土壌を創出することが急務です。